開発技術

未来の予測によって社会を変革する

私たちは、大規模データを用いて自然現象や社会現象の時間発展をリアルタイムに解析し、社会活動を最適化するための先駆的な技術の開発に取り組んでいます。そして、世界の技術革新をリードする研究成果を生み出すとともに、「真に実用的な技術は何か」を常に自ら問いかけ、社会への技術導入に取り組みます。データマイニング分野には様々な研究テーマ、研究の流行がありますが、私たちは特にIoTビッグデータ解析技術の開発に力を注いでいます。我が国において自動車などの組込・制御機器分野で強みがある点に鑑みれば、その製品の付加価値を高めるためにIoTビッグデータ解析技術が極めて重要になります。アメリカの後追いではなく、独自の研究を推進するべきであり、私たちは製造業におけるスマート工場データ、自動車走行データ、さらには医療情報や環境データ等も含めたIoTビッグデータに対し、様々な現象や活動の時間的な推移非線形動的モデルを用いて分析・学習することにより、 重要なパターンの発見、将来のイベントの予測要因分析リアルタイムかつ高精度に行い、社会活動最適化するための革新的なAI技術を開発しています。

(詳細は各リンクよりご覧ください)


主な開発技術

櫻井研究室では、IoT、Web等の様々な時系列ビッグデータを対象として、新たなビッグデータ解析技術の研究に取り組んでいます。
時系列ビッグデータのための解析技術

2020年度発表の櫻井先生による「JST未来社会創造事業 新技術説明会」の資料です。20分ほどですが、ご興味があればご覧ください。(リアルタイムAI技術に関する解説動画です)。

(その他リンクなど)

現在主に取り組んでいる技術は以下の通りです。

  • 大規模テンソル解析:{Object x Actor x … x Time} で構成される複合時系列イベントデータを扱います。
  • 非線形モデリング:非線形動的システム(非線形微分方程式)等を用いて様々な社会現象をモデル化、解析します。
  • 特徴自動抽出:事前知識や細かいチューニングを介することなく重要な情報を自動的に抽出します。
  • リアルタイム予測:刻々と変化する時系列データストリームを高速学習し、トレンド抽出や将来予測を行います。
  • 動的要因分析:非定常ビッグデータの中から非線形モデリングを用いて動的な因果関係を抽出します。
pdfpptxテンソル解析非線形モデリング特徴自動抽出リアルタイム処理動的要因分析
DISMO@WWW’23
CubeScope@WWW’23
FluxCube@CIKM’22
EpiCast@KDD’22
CubeCast@KDD’20
OrbitMap@KDD’19
CubeMarker@ICDM’19
StreamScope@CIKM’19
RegimeCast@KDD’16
CompCube@WWW’16
FUNNEL@KDD’14
EcoWeb@WWW’15
AutoPlait@SIGMOD’14
TriMine@KDD’12
SpikeM@KDD’12
櫻井研で発表した代表的技術のリストです。論文、ppt資料、解説記事等をご用意しております。


技術紹介

以下では、研究室で取り扱っている研究テーマの一部をご紹介いたします。

IoTビッグデータ解析、産業応用
IoTビッグデータ解析

大規模な時系列イベントストリームは、自然現象や人々の社会活動、さらには様々な設備の動作状況等、様々な事象を表現しています。リアルタイムAI技術の一つであるOrbitMap(トップ国際会議KDD2019にて発表)および関連技術(KDD2020, KDD2022)は、局所的な環境変化や突発的な行動変化に対して即座に対応して、リアルタイムに将来のパターンを予測し続ける技術であり、セグメンテーションとモデル推定、モデル選択、将来値の生成、全てをデータストリーム上で高速に処理します。最先端技術の中で世界最高の予測精度と計算速度を示しており、最新の深層学習による予測手法と比較し最大で、約670,000倍の高速化、約10倍の高精度化(予測誤差88%減)を達成しています。また、時系列モデル間の因果関係(要因−結果関係)を自動的に捉えることができ、スマート工場における装置故障、自動車走行における急ブレーキや急なハンドル操作など、様々なトラブルや事故の兆候(サイン)をビッグデータから高速かつ自動的に抽出するためのリアルタイム要因分析を可能としています。

製造業DXのための社会実装プロジェクト

製造業DXに関し、企業と密に連携しながら、不良品発生や設備故障の予測技術、組み込み機器や小型デバイス等のAIソフトウェアを開発し、これらの取り組みは社会への技術移転、事業導入につながっています。


Web・オンラインアクティビティ解析
Web情報からの社会動向分析

私たちの研究室では、ソーシャルメディアをはじめとするWeb情報の時間変化の観測に基づき、様々なユーザカテゴリと事象とのつながりを見つけ、社会における多様な事象間の連鎖や因果関係を把握することを可能とする社会情報分析技術を開発しています。テンソルデータストリーム解析技術(Web分野のトップ国際会議WWW2023にて発表)、複合カテゴリデータ解析技術(WWW2023にて発表)などを開発し、世界的に高い評価を受けています。


医療ビッグデータ解析
医療AI技術

医療現場、手術においては患者の様々な症状が複雑に関係し、刻々と状況が変化していく中で、オペレーションをリアルタイムに支援するような技術が求められています。わたしたちの研究室では、阪大病院の様々な医局と連携し、脳波ビッグデータ解析に基づく神経機能異常発見と診断支援技術の開発(脳神経外科)、IoT-AI技術を用いた人工心臓の異常発生予測と心不全患者の遠隔診断(心臓血管外科)など、様々なテーマで共同研究を行っています。


チュートリアル資料 (english)

Smart Analytics for Big Time-series Data