学生の方々へ

私たちの研究室では学生の方を随時募集しております。学生の方、一人一人が大きく成長し、自らの無限の潜在能力を開花するために、研究指導と環境作りにはベストを尽くしております。以下に私たちの思いを述べますので、共感していただければ大変幸いです。

(1) 私たちの研究室の取り組みについて

自動車分野のコネクティッドカー・サービス、製造業におけるDX、デバイスや材料開発におけるマテリアルズインフォマティクスなど、産業や社会は大きく変化し、このような状況においてAIやビッグデータ解析は産業革命を支える技術として期待されています。また、多種多様なIoTデバイス、各種シミュレーションツールから得られるビッグデータを解析し、迅速かつ自動的に対処することを可能とするAIソフトウェアが強く求められています。私たちの研究室では、予測、要因分析、トラブル予知、行動最適化のための情報提供をリアルタイムに行うAI技術基盤に関する研究開発を行っています。特に、IoTビッグデータに対し、様々な現象、 活動の時間推移を非線形動的モデルに基づいて分析・学習することにより、重要なパターンの発見、将来のイベントの予測を高精度かつ高速に行うリアルタイムAI技術を開発しました。現在、社会実装に向けて10社以上の有力企業とスマート工場、車両走行データ解析、エッジデバイスAIなどのテーマに関して、実用化に向け共同研究を実施し、産業界への技術移転に取り組んでいます。

(2) 研究室の理念と活動指針について

未来の予測によって社会を変革する ー これが私たちの研究室の理念です。私たちは国際的な学会活動として、情報系のトップ国際会議であるSIGMOD、KDD、WWWなどで継続的に論文発表をし、そしてKDDのBest Paper Awards(2008年、2010年)を日本人として初めて受賞(現在も日本人唯一の受賞)、さらにSIGMOD2015、WWW2016、KDD2017で日本人初のチュートリアル講演(3時間)をするなど、世界トップレベルの研究発表を行なっております。また、技術に関しましては、既存の深層学習と比べ、10倍の予測精度、10万倍の計算速度を達成するなど、優れたAI技術(リアルタイムAI技術)を開発いたしました。ただ、私たちの考えとしましては、研究活動というものは論文や学会発表、実験だけでは不十分だと常々感じておりまして、より実用的なソフトウェアを開発し、社会で使っていただくために、企業(NTT研究所)から大学に移ってからも産学連携を積極的に行なっております。現在、トヨタ自動車、トヨタテクニカルディベロップメント、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング、三菱重工エンジン&ターボチャージャ、富士通研究所、SCREEN、ローム、小松製作所、住友電工、東京電力、凸版印刷、TOPPANエッジ、オルガノなどの企業と連携、共同研究を実施しております。

私たちの産学連携は、社会を技術開発によって変革し、貢献したい、そういう考えで取り組んでおります。例えば、industry 4.0に関連し、製造業の企業の方々とは先進的なスマート工場を構築するため、革新的AI生産プラットフォームを世界に先駆けて開発したいと、目標を一つにして取り組んでおります。世界の技術革新をリードする研究成果を生み出すとともに、「真に実用的な技術は何か」を常に自ら問いかけ、社会への技術導入に取り組みます。

(3) AI研究者/AIエンジニアのための育成プログラム

私たちの研究室で最も重点をおいている取り組みが研究者の育成です。新しいAI技術を創出できるAI研究者は、特に日本では極めて少なく、高いレベルの研究ができる研究者を育成することは急務となっております。私たちの研究室では基礎研究に力を入れており、世界トップレベルの研究成果を出しながら、その基礎研究の中で成長していただきたいと考えております。一方で、私たちの基礎研究は単にトップ国際会議に論文を通すことが目的ではなく、社会インパクトを意識しておりますので、企業からの共同研究のご依頼も非常に多くなっております。企業との共同研究の中で、重要な基礎研究の課題が新たに見つかることも多く、研究者の皆様には企業の開発現場から学び、インパクトのある研究課題を創造、挑戦し、社会の技術革新をリードする研究者になっていただきたいと考えております。また、産学連携のみならず、様々な知見を得るためカーネギーメロン大学など海外の研究者との共同研究も行っております。基礎研究、産学連携、国際連携を組み合わせ、国際的なスター研究者になっていただけるよう、育成プログラムを設計し、育成にベストを尽くしております。特に企業との共同研究については、ご経験がない方もいらっしゃるとは思いますが、博士課程修了後どのようなキャリアで進む場合も(アカデミックかインダストリーかに関係なく)皆様にとっては大変良い経験になると思います。論文を出しつつ、企業の方々との仕事も楽しんでいただきたいと思います。

また、研究者ではなく、修士課程を修了後にAIエンジニアとしての就職を予定している方も歓迎いたします。AIエンジニアの不足は社会問題にもなっており、産業界でのニーズは非常に大きい状況となっております。ネット企業や製造業のみならず、インフラ、金融、医療など、ほぼ全ての業種で争奪戦の様相を呈しております。私たちの研究室で最先端のAI技術の研究開発に取り組みながら、実力をつけていただければ大変幸いです。

(4) 経済的支援について

私たちの研究室では、充実した大学院生活を送っていただくために、高い研究レベル、研究に専念する時間、十分な研究費、企業との連携、豊富な実データなど、質の高い研究環境作りに努めております。その研究環境作りの中には、修士課程および博士課程での経済支援制度も含まれています。大阪大学や大学院情報科学研究科にも博士課程の学費免除制度など様々な経済支援制度がありますが、私たち研究室の独自の経済支援プログラムも用意しています。例えば博士課程学生もしくは博士課程進学予定者の場合、特任研究員として研究室で採用し、研究に従事していただき、年額510万円 (博士課程)、年額270万円 (修士課程)を生活費をカバーする給料としてお支払いしております。また、海外留学制度も研究室独自に用意しており、カーネギーメロン大学などに半年の期間を2回行っていただき、その旅費と滞在費(1回300万円、合計600万円)は全額研究室でカバーしています。

私たちの研究室において、経済的な不安なく、洗練された育成プログラムのもと、高度な研究に挑戦していただければと思います。

(5) 協力講座について

私たちの研究室は大阪大学産業科学研究所に所属していますが、情報科学研究科の協力講座になっています。大学院情報科学研究科での講座は以下の通りです。

研究室配属、および、大学院入試のお手続きの際には上記講座をお選びいただければ幸いです。ご興味、ご質問、研究室見学のご要望などございましたら、メールにてご連絡いただければ大変幸いです。社会人学生も歓迎いたします。また、研究室への配属は大学院生および、B3、B4のみですが、学部生の方々を対象としたアルバイトも随時募集しておりますので、そちらもご興味ありましたらご連絡いただければ幸いです。

メールでの応募:
coordinator [at] dm [dot] sanken.osaka-u.ac.jp

みなさまと力を合わせて、社会インパクトのある技術を創出するための基礎研究、革新的な技術開発ができればと思います。何卒よろしくお願い申し上げます。

大阪大学 産業科学研究所
産業科学AIセンター
センター長 教授 櫻井保志
准教授 松原 靖子