大阪大学産業科学研究所 産業科学AIセンター 櫻井・松原研究室
学生さんインタビュー (藤原 廉さん, AAAI2025)

学生さんインタビュー (藤原 廉さん, AAAI2025)

櫻井研究室D2の藤原 廉さんの研究成果がAAAI2025(Oral presentation)に採択されました。

Ren Fujiwara, Yasuko Matsubara, Yasushi Sakurai, Modeling Latent Non-Linear Dynamical System over Time Series, AAAI Conference on Artificial Intelligence (AAAI 2025), Philadelphia, Pennsylvania, February 25-March 4, 2025. Oral presentation, Acceptance Rate: 600/12,957, 4.6%

AAAIは、AI分野における最難関のトップ国際会議で、極めて競争的な会議です。今年は、1万件以上の投稿論文の中から、採択されました。また、本研究成果は、極めて高く評価されたことから、Oral presentationに選出されました(12,957件投稿中、600件、上位4.6%の論文に選ばれています)。

Q. 今回採択された論文の概要について教えてください

与えられた時系列データから時間的な依存性を考慮しながら潜在的な非線形動的システムを抽出する手法である (LaNoLem: Latent Non-Linear equation modeling)を提案しました。ここでの非線形動的システムは深層学習のようなブラックボックスなモデルではなく、陽に数式で表されるようなモデルを表します。少しだけ具体的に説明すると、非線形システムの推定を困難にするノイズやデータの冗長性の問題を時系列データが持つ時間依存性を利用することで解決するような手法になります。モデル化の工夫と数学的な保証に基づく推定アルゴリズムの安定化が手法の肝になっています。

研究概要:提案手法(LaNoLem)は時系列から潜在的な非線形動的システムを抽出する手法です。

Q. 研究の楽しさと難しさはどのようなところにあるでしょうか?

自由度がかなり高いことでしょうか。自由度が高いと何をすればいいのかわからなくなりそうに見えますが、研究に慣れていくほど研究として成立させられる範囲が広がるのと、本質的な部分で必要な理論(数学)が思ったより少ないことに気づき始めるとかなり楽になります。

研究テーマの設定には常に苦しめられています。特に、新しい領域で挑戦的な課題を設定しようとすると自分の知識を増やす作業と新規性を生み出す作業が同時に発生するのでかなり大変です。

Q.最近興味のある研究テーマや技術、論文などはありますか?

基本的に今興味のあるテーマはすでに取り組んでいたり論文を投稿していたりするので難しいですね。ただ、今のところ取り組んでいないテーマとしては、マルチエージェントシステムにおけるダイナミクスの解析や因果関係を考慮した公平な機械学習には少し興味があります。

Q. 研究以外の趣味はありますか?

研究が趣味かどうかは人によるとは思いますが、温泉巡りやグランピングみたいなアクティブすぎない旅行とかですね。正直、好奇心や非日常的な刺激は普段の研究で十分(?)なので、どちらかというと自分の普段から少し離れるような、ゆったりとした時間を過ごすのが好みです。

お忙しいところ、お答えいただきありがとうございました!!ますますのご活躍に期待したいと思います^^